岩崎大使より着任のご挨拶

岩崎敏大使着任挨拶
 
 キプロスの皆様、そして、日本の皆様、はじめまして。このたび、在キプロス日本大使として東京から着任いたしました岩崎敏と申します。本日、ニコス・フリストドゥリディス大統領に信任状を奉呈し、正式に大使としての職務を開始いたしました。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 
 キプロスの皆様、私は、これまでの60年近くの人生で、残念ながら一度もこの国に来る機会に恵まれませんでした。今月の中旬にラルナカ空港に下り立って以来、多忙な公務の傍ら週末にバスを利用して、ニコシアの城壁に囲まれた旧市街や、ラルナカの美しい海岸と歴史の刻まれた教会、そしてパフォスの遺跡などを見て回りました。また、グリーンラインで分断された緊張感のある緩衝地帯の様子も見てみました。
この間、キプロスの人々が異邦人に対してもとても親切にしてくださることを実感し、また、その自然の美しさと歴史の豊かさに触れることができました。これからの在任期間中、キプロスに対する理解とキプロスの人々に対する親愛の情を深めていきたいと思います。
 
 日本の皆様、地中海の地図を広げてみてください。キプロスは、地中海の最東端に浮かぶ島で、中東・欧州・北アフリカが交差する極めて重要な場所に位置し、ゼウスがフェニキアの地からエウロパをクレタ島に連れ去り、アフロディーテがキプロス近海の波の泡から誕生した神話時代以来、最近の2000年の間でみても、東ローマ帝国、十字軍、ベネチア、オスマントルコ、大英帝国による統治、そしてグリーンラインで分断された現在まで、世界の歴史のダイナミズムを直接体験してきた土地です。キプロスは、四国の半分ほどの広さの島ですが、ユネスコ文化遺産が3つも登録されていることも、その歴史の豊かさを物語っているものと言えましょう。
 日本人の皆様に、キプロスの自然と歴史と人々の魅力を感じていただきたいと思います。是非とも、一人でも多くの方にこの地を訪れていただければと思います。
 
 在キプロス日本大使館は、2018年1月に開設されました。以来、カンボス村に「桜公園」が開園され、また、研究・イノベーションの分野での協力関係が進められるなど、両国間の交流が積極的に展開されてきました。ただ、約8年という年月は、キプロスと日本のそれぞれの国の長い歴史から見ると、点のような長さです。私は、これから続いていく両国の長い歴史の中で、文化、経済、学術、技術といった各分野での交流が更に育まれ深まっていくものと確信しています。
 自分の大使としての任期中に、両国の友好親善関係を少しでも前に進めていくことができれば、外交官としてこれ以上の喜びはございません。
 
 日本とキプロスの友好親善関係がより一層深まりますように、これから微力ながら全力を尽くして参りたいと思います。是非とも、皆様のご理解、ご支援、ご指導をよろしくお願い申し上げます。
 
2025年10月31日
在キプロス日本大使
岩崎　敏